今回紹介する『そういう家の子の話』は、「青い花」や「放浪息子」で有名な志村貴子先生の作品。
同じ宗教を信仰する“宗教2世”として生まれた恵麻、浩市、沙知子の3人が他人には言えない“家の事情”と戦いながらも必死に生き抜いていく群像劇です。
“ふつうの家”とは違う特殊な家に生まれ、重い十字架を背負った彼らは“ふつうの人生”を歩む事ができるのでしょうか?
【漫画】『そういう家の子の話』の作品情報
作品情報 | |
作者 | 志村貴子 |
ジャンル | 青年漫画 |
出版社 | 小学館 |
レーベル | ビッグスピリッツ、ビッグコミックス |
『そういう家の子の話』は「週刊スピリッツ」にて連載中の人気漫画家・志村貴子先生による作品です。
“宗教2世”として生まれ28歳になった3人の主人公が、身体に沁みついた宗教の呪縛に悩みながらも自分らしく生きようと足掻く物語。
幼い頃は何も分からずただ親の言う事に従っていた主人公たちも、大人になると“ふつうとは違う”事に気付き始めたようですね。
彼らは宗教の呪縛から逃れ“ふつうの幸せ”を手に入れる事ができるのか、気になってしまいます!
『そういう家の子の話』のあらすじと登場人物
あらすじ
同じ宗教を信仰する家に生まれた恵麻、浩市、沙知子。
3人の朝は“勤行”から始まり、毎朝仏壇に向かって手を合わせる事も普通だと思っていました。
学校が終わると“子供会”という名の集まりに参加させられていましたが、勉強会の後のゲーム大会が楽しくて、喜んで通っていた3人。
しかし大人になった恵麻は自分の置かれた環境に疑問を持ち、宗教と距離を置き始めます。
浩市には結婚を考えている彼女がいましたが、宗教の事を打ち明けると互いの親が大反対。
そして大人になっても何の疑問も持たず親の言う事に従っていた沙知子は、初めて自分の人生に疑問を持ち始めて…。
登場人物
- 有馬恵麻(ありまえま)
イラストレーター“エゴマエマ”として活動する28歳。
子供の頃は何の疑問も持たず親に従っていたが、大人になり仏壇を処分してからは宗教と距離を置いている。
- 沢渡浩市(さわたりこういち)
彼女のミカと同棲中の28歳。
ミカは宗教2世という事を受け入れてくれたが、両親に結婚を反対され人生の岐路に立たされている。
- 工藤沙知子(くどうさちこ)
恵麻たちの同級生で、幼い頃から親の言いなりで宗教法人が運営する高校に進学。
宗教団体の幹部に推薦された上、同じ宗教の男性と結婚させられそうになった事で初めて自分の人生に疑問を抱くようになった。
- 大森和彦(おおもりかずひこ)
“大森上総”として活躍する大人気漫画家・36歳。
宗教に嵌っているわけではないが、幼い頃からの“勤行”を止められずにいる。
- ミカ
浩市と同棲中の恋人。
彼が宗教2世である事を受け入れ、結婚を前向きに考えている。
『そういう家の子の話』の各話ネタバレ感想!
1話の感想|独り立ち
第1話の主人公は、有馬恵麻・28歳。
幼い頃は何の疑問も持たずに勤行をして、放課後には同じ宗教2世の友達と“子供会”という名の勉強会に参加して…。
大人になってから入信するのは自由ですが、親がどっぷりと嵌っていると子供にはどうしようもできませんよね。
クラスメイトには他の宗教2世もいたようですし親の都合で振り回される子供たちが可哀想になりました。
恵麻の場合は独り立ちする際に仏壇を交わされましたが、数年前に処分したとの事。
2話の感想|結婚の壁
第2話の主人公は、沢渡浩市・28歳。
恵麻と同級生の浩市は、子供の頃は訳も分からず“子供会”に参加していましたが、今は宗教2世である事を隠しながら生きているようですね。
というのも、これまでの恋人は宗教2世という事を打ち明けると去ってしまったとの事。
お付き合いするだけならともかく、結婚となれば両親も絡んできますし、別れたくなる彼女の気持ちも分かります。
浩市の現在の彼女・ミカの場合は宗教2世でも気にしないと言ってくれましたが、両家の親はそうとは限りません。
3話の感想|初めての疑問
第3話の主人公は、工藤沙知子・28歳。
恵麻たちと同級生の沙知子ですが、二人の家庭以上に宗教にどっぷり浸かっているように見えます。
“沙知子”という名前も宗教法人の教祖が決めたようですし、授業で名前の由来について聞かれても答えられない沙知子が不憫になりました。
大人しい性格の沙知子は自我を持たず、ただ周りに流されながら生きている女の子。
宗教法人が運営する高校に進学し幹部にまで推薦されてしまいますが、無理矢理お見合いさせられそうになった事で初めて疑問を抱いたようです。
4話の感想|沁みついた習慣
第4話は引き続き恵麻の話となりますが、大人気漫画家の“大森上総”こと大森和彦にスポットが当てられていました。
和彦はヒット作を次々と生み出す人気漫画家で人柄も良いですが、宗教2世で勤行の習慣が染みついているのが玉に瑕。
仕事中に一人自室に籠り勤行を始めた和彦を、アシスタントたちが冷ややかな目で見ているのがリアルですね…。
とはいえ和彦は宗教に嵌っているわけではなく、幼い頃から身体に沁みついた習慣を捨てきれずにいるようです。
そんな和彦が恵麻と急接近する展開に驚きましたが、二人が不思議な縁で結ばれていたと分かり絶句!
【結末予想】『そういう家の子の話』の最終回はどうなる?
浩市とミカが破局する
結婚に向けた踏み出した二人ですが、宗教の違いは埋められないと思います。
二人の問題とはいえ、ミカの両親は宗教に嵌っている家族と関わりたくないでしょうし、浩市の両親はミカを入信させようとするでしょうし…。
結局両家の折り合いが付かず、破局する羽目になると予想しています。
沙知子が自分の人生を歩み出す
幼い頃から親に敷かれたレールに沿って生きてきた沙知子。
親の言う通りの高校に進み、親の望む相手と結婚して…。
大人しい沙知子は何の疑問も抱かずに生活していたようですが、このままでは幸せになれるとは思えません。
お見合い相手と結婚させられそうになった事で、自分らしく生きようと足掻き始めるのではないでしょうか。
まとめ
『そういう家の子の話』について紹介しました。
宗教2世として生まれた恵麻、浩市、沙知子の3人は、何の疑問も抱かずに成長。
しかし大人になった3人は、自分の置かれた境遇が“ふつうじゃない”事に気付き始めます。
宗教から脱却した恵麻と、結婚という人生の岐路に立たされた浩市、そして初めて自分の生き方に疑問を抱いた沙知子。
信仰は自由ですが、子供が親と同じ宗教を信仰する必要などありません。