本作『14歳で整形した私』は著者の” うみの韻花 ”先生 の実体験を描いたエッセイ作品です。
幼い頃から、見た目にコンプレックスを抱いていた著者が、周りから、さらには自分自身からも追い詰められ、ズブズブと“整形の沼”にはまっていく様がリアルに描かれています。
一度したら止められなくなってしまった整形ですが、その昔にあるきっかけになった存在があり…?
『自分はなぜ美しさにこだわるのか?』『自分の何がいけないのか?』
自問自答を繰り返し、苦しみながら、それでも前に進んでいく主人公に、心が打たれる作品となっています。
漫画『14歳で整形した私 「ブス」の呪いから解けて自分を好きになる日まで』あらすじと登場人物
あらすじ
主人公の韻花は、幼い頃から「外見の美しさ」に囚われています。そのきっかけになったのは、美容整形外科をしている父親の存在です。
昔から「今はブスだ」「鼻さえ変えれば可愛くなる」などの言葉をかけられていた韻花は、そんな父親の言葉が“正義”だと信じていました。そしてついに、韻花は14歳のときに、初めての整形をします。それがある意味“沼”の始まりでした。
大人になっても、父親のことが忘れられず、昔のことを思い出してしまう韻花。自分の顔を見て、日々「美しさ」を求め、整形に手を出します。最初は目、次はほうれい線、次は…。始めは少しの整形のつもりが、段々と止められなくなり…。
登場人物
うみの 韻花(おとか)
本作の著者であり主人公。幼い頃の父親の言葉に縛られ、顔にコンプレックスを抱いている。父親や彼氏の言葉を“絶対”としており、自分に制限をかけてしまっている。
韻花の父
韻花に初めての整形をした張本人で、美容整形外科医。幼い頃から韻花に対して、様々な面でプレッシャーを与えている。技術は確かなものがあるため、業界では評価が高い。
韻花の彼氏
韻花と同棲しているモラハラ気質の男。整形することに嫌悪感を抱いている反面、女性の見た目を重要視する一面が見られる。綺麗になろうとする韻花に対して、外見をけなす言動が多い。
『14歳で整形した私 』を読んだ感想
止められない、整形沼の恐怖
『ここを直したらバランスが悪い…。』『ここも気になってきたな』…のように、はまると際限がなくなってしまう点が、非常に恐ろしいですね。
これで辞めよう!と思っていても、中毒のようにはまってしまう、いわゆる“依存”のようだと改めて感じました。
さらに顔の形やパーツだけではなく、シミやシワなど、気になってしまえばきりがなく…。
現実でも、整形にはまってしまう人は、みんな同じような感覚なのかな?、とゾッとさせられました。
その整形は“悪”なのか?
現在では、整形は結構当たり前になっていると感じますが、彼氏のように整形に対してマイナスなイメージを持っている人も一定数いるのかな、と感じました。
もちろん彼氏が韻花に対してひどい言葉を投げたり、モラハラ発言が多かったりするのは、許せないことです!
ただ、整形に対して多少なりとも嫌なイメージを持っている人は実際にいて、それに対して良い悪いはない、とも思い…。自分の価値観や現実問題を改めて考えさせられる作品でした。
父親の呪縛は解けるのか…。
韻花が止められない整形沼にはまったきっかけとなった父親の存在。
幼い娘に呪いのように言葉を投げかけ、さらにその顔に自らメスを入れる父親に、とても信じられなかったです。娘が大きくなって、自ら強く整形を望むならば、まだ許せますが…。
また、成長してからもそんな父親の言葉は、やはり残るものだなと思いました。彼氏の存在も、自己肯定感の低い韻花には大きいですが、今後きっかけとなった父親との関係がどうなるのか、呪縛は解けるのかが非常に気になりました。
『14歳で整形した私 』見どころは?
絵の表現方法が読んでいて引き込まれる!
デフォルメされた韻花と、「ほうれい線」や「シワ」など、気になる部分の人物表現が異なって表現されており、筆者の自分の見た目へのコンプレックスを、生々しく感じ取れました…。
また整形の沼にはまっていく様子や、父親や彼氏への不信感、韻花の心情など、筆者の絵柄表現が面白く、読んでいて目が楽しく感じられました。
韻花の今後はどうなるのか?
顔面にコンプレックスを持っているため、整形で美しさを保つことにより、日常生活に自信を持てている韻花ですが、もっと自信を持ってほしいと感じました。
整形のためとはいえ、そのために会社での営業成績でトップを維持したり、お金を稼いだりすることは、とてつもない根気がいることだと思います。
しかし、どうしても逃れられない父親や彼氏の呪縛、それに解放されるためにもがく韻花。
韻花はその呪縛をしっかりと断ち切り、自分自身の道を歩んで行けるのか…。今後の展開に期待です!
まとめ
現代では「プチ整形」のようなごく一部の整形もできるようになっているため、みなさんの周りにも似たような経験をされた方が、いるのではないでしょうか。
エッセイ本という、筆者が現実で体験したことだからこそ、より身近に感じられる、そんな作品だと感じました。
それぞれの登場人物の関係性も、どう展開していくのか気になりますね!