『今日も母に土下座しています』は、虐待をうけて育った主人公と、その家族との生活を振り返るコミックエッセイです。
“普通の暮らし”を送っていると思っていた主人公が、大人になってから知ったのは「自分は虐待をうけていた」という事実。幼少期は、「何時間でも土下座をすることが普通」と思っていましたが、それは普通ではありませんでした。
境界性パーソナリティ障害を患ってしまった主人公が、これまでどんな人生を送ってきたのか、目をそむけたくなるほどの物語をご紹介します。
漫画『今日も母に土下座しています』のあらすじと登場人物
あらすじ
主人公“眠ヰ”は、母と弟との三人暮らし。シングルマザーの母のもとで健やかに成長していましたが、社会人になった今「境界性パーソナリティ障害」という精神疾患を患ってしまったのです。
母との暮らしは、毎日食事を食べることができ、学校にも通わせてもらい、“普通の暮らし”を送っていましたが、「週2~3回、母は急に怒りだし、どれだけ謝っても無視され続ける」という異様な生活でした。
しかし、それを“普通の暮らし”と思っていた眠ヰは、大人になってはじめてこれが虐待ということに気づきます。そんな眠ヰの過酷な幼少期を振り返っていく物語です。
登場人物
- 眠ヰ
幼少期から母に搾取され続ける主人公。大人になってから、周囲の助言により「自分が虐待をうけていた」という事実を知ることになる。でも、母に捨てられることが怖く、家族と縁を切ることができない。
- 母
弟と眠ヰを一生懸命育てるシングルマザー。眠ヰたち姉弟と楽しく暮らす反面、急に怒り出し、手がつけられない性格を持ちあわせている。怒りだすと、何時間も土下座で謝っても無視を続ける。
- 弟
小さいころは、主人公と一緒に怒られることもあったが、母からは溺愛される人生を送っている。すべて母の言いなりになり、社会人になっても自立できず、主人公の給料で生活している。自分の人生に全く危機感がない。
『今日も母に土下座しています』1巻(1話~4話)までのネタバレ感想!
1話の感想|虐待をうける主人公
“普通の暮らし”送っていたと思っていた眠ヰが、大人になりSNSを通じて、「自分は虐待を受けていた」という事実を知ることになるなんて、その時の精神状態がどうだったのか気になるところです。
眠ヰは、「急に母から怒鳴られて、土下座する」日々を送っていましたが、なぜ怒られているのか、サッパリわかりません。これは、母親も「意味もなく怒っていた」と思いますが、子供の心を傷つけるには十分ですよね。
これが原因で眠ヰは、境界性パーソナリティ障害を患ってしまうことになりますが、取り返しのつかない状況に陥てしまいます。
2話の感想|家族に振り回される日々
眠ヰには年子の弟がいましたが、この弟もポンコツそのもの。男というだけで、母から大学進学を許され、女というだけで高卒のまま就職の選択しかできなかった眠ヰの差は、めちゃくちゃ大きいですよね。
さらには、給料のうちの10万円は生活費として母に渡すにも関わらず、弟はバイトもせずに遊ぶだけ。こんな差別的な生活には、読んでいるこちら側がウンザリしてしまいます。
姉弟格差を感じながらも、「母に見捨てられたら終わり」と考えていた眠ヰですが、ある日突然母が仕事を辞めてしまったのです。
3話の感想|家族と離れる決意
弟を溺愛する母は、眠ヰがどれだけヒドイ目にあっても、弟の肩を持つばかり。給料カツカツな眠ヰへの金銭的負担は多くなっていきます。
ある日、ネットで見つけた情報で、ようやく「自分の家は普通じゃない」と気づいた眠ヰですが、すぐに家族と縁を切ることはできません。眠ヰは、ほぼ洗脳されている状態だったので、しょうがないかなとも思います。
でも、周囲からの後押しによって、ようやく家を出ていくことを決意します。家族の反応とは…。
4話の感想|幼馴染との生活
眠ヰは、幼馴染とルームシェアを開始しますが、この友達もヤバい奴だった…。幼馴染も親から虐待をうけて育っていたので、眠ヰへの依存がヤバすぎます。
どこに行くのも、なにかするのも眠ヰが、一緒じゃなきゃ落ち着きません。しかも、ゲームにハマってしまったばかりに、睡眠時間を削ってまで没頭してしまう始末です。
家族のこと、友人とのこと、自分の生活のことでストレスを受け続けた眠ヰは、徐々にカラダを壊し始めていくのでした。
【結末】『今日も母に土下座しています』の最終回を考察!
考察①:すべての縁を切ってしまう
自分の境遇が、ヤバいことに気づいた眠ヰは、すべての縁を切ることを決意しそうです。
家族や友人、職場との縁を切り、ようやく自分らしく生きるための環境を手に入れると思います。
もちろん、あの家族が簡単に眠ヰのことを手放すことはないと思いますが、そこは頑張ってほしいですよね。
考察②:穏やかな生活を手に入れるけど…
全ての縁を切ることに成功した眠ヰですが、過去にうけた傷は深く、ずっと眠ヰを苦しめることになりそうです。
“普通に優しい人”に出会うことで、傷を癒してくれると思いますが、幼少期にうけた虐待は、いつでも影をひそめ、眠ヰの心に居座り続けそうですよね。
眠ヰが、だれからも傷つけられることなく、穏やかに生活できる環境を手に入れてほしいと思います。
まとめ
自分が虐待をうけているという自覚がなく、大人になってからは初めて気づいた「普通じゃない生活」。
その事実を受け止められずに、さらには家族から搾取され続ける主人公は、“境界性パーソナリティ障害”という精神疾患を患ってしまいます。
不幸すぎる主人公が、どんな未来を手に入れることができるのか、最後の最後まで目が離せません。