『配信中毒~私を満たす甘い毒~』を読んだ感想(ネタバレあり)行き過ぎた“承認欲求”の行く末は…?

“意識高い系”を自称している、主人公の清香は、派遣として企業で働くOL。自分の承認欲求が満たされないことに、物足りない日々を過ごしていましたが、ある日「動画配信」に出会います。

『配信動画の中では、自分は注目される存在』ということに快感を覚えた清香。動画の閲覧数を伸ばすために、清香の行動は徐々にエスカレートして…。

現代では当たり前に日常に溶け込んでいる、SNSと配信動画――。今回はその“闇”にのまれてしまった、主人公 清香の転落人生を描いた、『配信中毒~私を満たす甘い毒~』の感想と見どころをたっぷり紹介していきます!

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『配信中毒~私を満たす甘い毒~』作品情報

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本作は小岩井 ゆば先生の作品です。『バイバイ、愛してる』といった、学生のピュアな恋愛を描いた作品や、ボイスコミックにもなった『うちの夫は、私を異常に愛してる』など、様々なジャンルの作品を世に出しています。

その中で『配信中毒』は、SNSや動画配信の普及に伴い、浮き彫りになってきた「SNS依存と承認欲求の闇」を背景とした作品です。SNSでのフォロワー数や「いいね」数など、他人からの注目や称賛が可視化された現代で、人々の心理や行動がリアルに描かれています。

また小岩井先生の作品は、非常に丁寧で読みやすいです!登場人物たちは、性格や行動には難ありですが、見た目は美男美女が多く…。だからこそ、話が進むにつれて見えてくる、裏の顔やギャップも、非常に見ごたえポイントとなっています。

あらすじ

あらすじ

派遣として企業に勤めている本作の主人公、中川 清香は普段から同僚へマウントをとったり、自慢をしたりする、自称“意識高い系”。「自分には価値がある」と信じ、自分への称賛を日々求めています。

ある日、動画配信をしている後輩に誘われ、清香は動画に出演することに。乗り気ではなかったものの、動画に表示される清香への称賛コメントに快感を得て、自ら動画配信を始めます。

最初は動画登録者数やコメント数に伸び悩む日々…。そんな時、あることをきっかけに、閲覧数を稼ぐ方法を知り、それを実践し始めます。それによって、徐々に清香の動画の閲覧数やコメント数が増えるように!

注目される快感を覚えた清香は徐々に動画配信の沼にはまっていき…!

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『配信中毒~私を満たす甘い毒~ 』を10話まで読んだ感想

それぞれの登場人物の心情がリアル

本作は、清香の勤める会社の同僚や、SNS・動画配信者など、さまざまな立場の登場人物がいますが、この人物たちが非常にリアルでした。

同僚に対してマウントをとる清香と、内心では蔑みながらも笑って流す同僚たち。また動画配信で有名なイケメン男性配信者など、「現実でもこういった人絶対いるよな…」と思いました。

特に会社内という、限られたコミュニティーでの、女性同士の掛け合いについては、ヒヤヒヤしながら読みました…!

こういった女性ならではのマウント合戦は、実際にあると思います!

最初の段階では、お互いに様子見をしている感じでしたが、途中からついに本心を吐き出す人もいて…。こういったやり取りだけでも読み応えがありましたね。

清香の行動力に脱帽!

会社の後輩の動画配信をきっかけに、徐々にSNSや動画配信にはまる清香ですが、1から始めるにも関わらず、その凄まじい行動力に驚きました。

フォロワー数やいいね・コメント数を稼ぐためとはいえ、良い方法があれば取り入れ、逆に悪影響のことはすぐに切り捨てる行動の速さは、ある意味見習いたいものですね(笑)

ただ、その方法については、あまり理解できるものではないと思いますが…。この行動力は、もともと高い“承認欲求”が成せる技だと感じました。

「私を見てほしい!」清香の隠された過去とは…。

どんな手を使っても、SNSなどで自分をアピールする、承認欲求の高い清香。ただ徐々に、どうしてその人格が形成されたのか、清香の過去が明るみになってきて…。

読み始めは、「清香はもともとの性格がそうだったんだろうな」と思っていましたが、彼女の過去を読んでからは、少し切ない気持ちにもなりました。

SNSを中心に、登場人物の人間関係がリアルに描かれている本作ですが、清香の過去起こったことも、現実にあり得るのではないか、と感じさせられました。

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『配信中毒~私を満たす甘い毒~』見どころ

登場人物全員にストーリーが感じられる!

清香の周りには、清香を配信に誘った後輩や、配信を通して知り合ったイケメン男性配信者など、メインやサブポジションのキャラクターが多数出てきます。

この各登場人物も、中々に個性的な人ばかりです。表情や性格に裏表があり、それが徐々に明るみに出てくるのも、読んでいて非常に惹かれました!

「現実にこういう人いるよね」と感じさせる人物が多いので、ひょっとしたら誰か1人は共感できる人物がいるかもしれません…!

SNS利用や動画配信者の描写がリアル

SNSなどは、日々のブログとして取り入れていることもありますが、その中には“自慢”や“マウント”など、「注目を集めたい!」「誰かに賞賛されたい!」と考えから発信されるものもあるでしょう。

本作はそういった、人間の“裏”の部分が丁寧に描写されています。

また主人公の清香や、それを取り巻く同僚や後輩、配信者などで渦巻くドロドロした人間関係が、非常にリアルに描かれており、SNSの危うさがぎっしりとまとめられています。

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まとめ

日々の生活に多少の不満はあったものの、普通のOLとして企業に勤めていた清香が、SNSと出会い、得た快感からその沼にはまり、転落していくという本作。

SNSが普及している現代で「身近にこういう人がいるかも」と感じさせるほど、リアルに描かれています。

動画配信にはまった清香の今後がどうなっていくのか…。身近なSNSの闇について、興味が湧いた方は、ぜひ読んでほしい作品です。

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