『教育虐待 ―子供を壊す「教育熱心」な親たち』は、中学受験を巡る親の過剰な期待と、それによって子供が受ける深刻な影響をテーマに描かれています。
教育ジャーナリスト・石橋大地が主人公であり、彼が運営する「エデュケーション企画」に寄せられる教育に関する様々な相談が物語の軸となります。
特に、教育虐待に焦点を当てた本作は、現代社会の闇を浮き彫りにし、親たちに「本当の教育」とは何かを問いかけます。
『教育虐待』はどんな作品?
作品情報 | |
作者 | 野崎アユ |
ジャンル | 女性漫画 |
出版社 | ファンギルド |
レーベル | comic スピラ |
あらすじ
石橋大地が運営する「エデュケーション企画」は、教育に関する様々なメディア企画を行う組織です。ある日、石橋のもとに中学受験に関する相談が寄せられます。
相談者は、過剰な受験対策により子供が精神的に追い詰められていると訴えていました。
石橋は、このケースをきっかけに、教育の名のもとに行われる虐待行為の実態を深く調査していくことになります。
物語は、教育熱心な親たちが子供にどのような影響を与え、最終的にどのような結末を迎えるのかを描いていきます。
登場人物
- 石橋大地
エデュケーション企画の代表で、教育ジャーナリスト。
教育に関する問題を取材し、その実態を世に伝える役割を担う。 - 教育虐待を行う親
中学受験や学歴社会に悩む親たち。
彼らの教育熱心さが行き過ぎた結果、子供たちに無意識のうちにプレッシャーをかけることになっている。 - 子供たち
親の期待に応えようと必死に頑張るが、その過程で精神的な負担を抱えることになり、塾や先生、親に洗脳されていく。
彼らのストーリーが作品の核となっている。
『教育虐待』1巻の感想【ネタバレ注意】
第1話の感想
第1話では、親が「教育」の名のもとに子供に与えるプレッシャーがどのように暴力的な行為として表れるかが描かれています。
話の例として挙げられているのが、勉強が苦手な女の子が、兄が地頭がよく有名校に進んだからと言い、あなたも勉強はできると親に決めつけられ、テストの点が良くなかったら罵倒されると言ったものです。
この女の子は、両親や兄のせいで精神が崩壊し入院しいているにも関わらず、親から勉強をしろと言われるのです。私は塾に通ったことがないので本当に衝撃的でした。
もちろん全ての親がこうというわけではありませんが、このような人もいると思うととても胸が痛いです。本当に衝撃的でした。
第2話の感想
2話では1話とは違う親子の話が描かれていますが、教育虐待という点では同じです。
本当に残酷で可哀想という言葉以外が見つからないです。
またこの話がリアルだなーと思ったのが、母親同士がグループラインで自分の子供の学習状況や勉強時間を競い合っているというものです。
親も先生と同様に自分の所有物としか思っていない様子にとても腹が立ちました。
第3話の感想
第3話では、前話からの続きで、親の教育熱がさらにエスカレートしていく様子が描かれています。
子供の自由を奪い、全てを管理しようとする親の姿が恐ろしいほどリアルに描かれ、視覚的にも心に訴えかけるシーンが多数あります。
もし自分が親になった時、こんな親にだけはなりたくないと強く思いました!
第4話の感想
ある日、1人の子供の親が、同じ塾に通う母親の顔に塩酸をかけるという事件が起きます。
動機は、その子に学校で勉強のことについていじめられていたからと言いますが、なぜか塾の前で事件を起こしたのです。その理由とは?
この話では、利益にしかとらわれず、目の前の子供をただの商売道具としか思っていない進学塾の経営体制が明かされます。
初めて知った時はとてもびっくりしました。そしてこれが一部の塾で行われていると考えるだけでゾッとしました!
第5話の感想
5話でも4話同様に進学塾の恐るべき裏の実態が次々と暴かれていきます。
学校を休んでまで塾の宿題をさせ、睡眠時間もろくに取れない、そしてそれで点数が落ちたらもっと宿題を出す。
という悪循環で金を巻き上げて子供達を精神障害に追いやる姿には本当になんとも言えない気持ちになりました。
まとめ
『教育虐待』は、学歴社会の中で子供たちがいかにして追い詰められていくかを描いた考えさせられる作品です。
親の過剰な期待とプレッシャーが子供に与える影響が非常にリアルに描かれており、教育虐待の恐ろしさを強く訴えかけています。
教育のあり方について考えさせられる一冊です。