漫画『名前のない病気』の魅力をネタバレ解説!“普通じゃない”家庭で育った道雄の葛藤

名前のない病気』は “家族”をテーマにほのぼのエッセイ漫画を手掛けてきた漫画家の道雄が、30年間引きこもりの兄との関係について考える人間ドラマです。

幼い頃から兄の奇行に悩まされてきたものの、兄が引きこもる原因を作ったのも道雄自身。道雄が兄の呪縛から解放される日は訪れるのでしょうか?

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漫画『名前のない病気』について

  • 作者:宮川サトシ
  • ジャンル:女性漫画
  • 出版社:小学館
  • レーベル:ビッグコミックス

作品情報

漫画『名前のない病気』は、第1回「スペリオールドキュメントコミック大賞」の対象を受賞した話題作。

原作者の宮川サトシ先生自身がこれを描かなければ、人生終われませんと語るほど思い入れの込もった作品です。

奇行を繰り返す兄に悩みながら幼少期を送った主人公が、大人になった今も続く家族問題に疲弊するヒューマンドラマ。

一見“普通”に見える家族が抱える問題の数々がリアルで、追い込まれた主人公と彼を支える家族の葛藤が描かれており引き込まれますね。

道雄と兄・信男がどんな結末を迎えるのか気になってしまいます!

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あらすじ

“家族”をテーマとしたほのぼのエッセイが人気の漫画家・道雄は、妻の蕉子と共に上京して10年を迎えます。

4年前にマイホームを建てた道雄は子宝にも恵まれ、絵に描いたように幸せな生活を送っていました。

しかし幼少期に凄まじい経験をした道雄は今もトラウマに悩まされ、いつかこの幸せが壊れてしまうのではと不安を抱いています。

道雄は自分の家族や親兄弟についてエッセイ漫画に描いていますが、故郷の岐阜の実家には漫画に登場させた事のない30年間引きこもりの兄・信男が一人暮らしをしていて…。

登場人物

  • 高山道雄

“家族”をテーマとしたほのぼのとしたタッチのエッセイを描く漫画家。幼少期の体験から、幸せが壊れる事を極端に嫌う。

  • 高山信男

道雄の15歳年上の兄で高山家の長男。幼い頃から奇行を繰り返し、ある出来事がきっかけで30年もの間引きこもり生活を続けている。

  • 高山康二

道雄の兄で高山家の次男。腕っぷしが強く、地元に残り実家の様子を見守ってくれる頼れる男性。

  • 高山蕉子

道雄の妻。優しく大らかで、道雄の過去を理解し神経質な夫を見守っている。

  • 高山あゆ子

道雄と蕉子の長女。普段は聞き分けが良いが、信男の事を嫌っている様子。

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『名前のない病気』の感想・レビュー(ネタバレあり)

家族の闇

漫画家として成功し、幸せに暮らしている道雄が抱える闇に興味を惹かれました!

絵に描いたように幸せに見える高山家ですが、道雄には漫画に一度も登場させた事のない引きこもりの兄・信男がいます。

両親亡き後の実家は荒れ果てており、次男の康二が時折様子を見に行っているとはいえ、人が住んでいるようには見えません。

ゴミ屋敷と化した実家で30年もの間引きこもり生活を続けている信男は、一日中テレビを見ているだけ。

信男が引きこもりになった原因や、道雄と何があったのかも気になります!

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二年ぶりの帰省

2019年の年明け、家族と共に二年ぶりに帰省した道雄。

幼少期の回想シーンでは、子供の頃の道雄が既に信男の奇行に悩まされ、理不尽な仕打ちを受けていた事が伺えます。

こんな兄がいたら漫画に登場させたくない気持ちも分かりますし、15歳も年上なのに大人げない行動に驚きです。

さらに二年ぶりに再会したというのに、道雄の同級生の活躍を見つけては訳の分からない嫌味をぶつけてくる信男に驚愕…。

弟の活躍を素直に喜べばいいのに、何も変わらない信男に腹が立つ道雄の気持ちも最もだと感じました!

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引きこもりの原因

実は信男が引きこもるきっかけを作ったのは道雄だと判明。

気に食わない事がある度に包丁を持ち出す信男に嫌気がさしていた道雄ですが、高校時代に母親が傷つけられた事で理性が崩壊してしまったようですね。

ここで反撃した道雄が致命傷を与えたせいで、信男は長期入院を経て仕事も辞め引きこもり生活に。

確かに道雄もやり過ぎだと感じますが、これまでの過程を考えると我慢の限界だったのでしょう。

あの日以来信男はすっかり大人しくなったようですが、性根は変わっていませんね。

相変わらず行動は気に障るものの、道雄と仲直りしたいという信男の想いが伺え切なくなりました…。

名前のない病気

実家を出た道雄は蕉子の実家に向かおうとしたものの、何故か信男まで外に。

道雄の家族と世間話をしながらも、どこか価値観がずれておりいたたまれなくなりました。

それでも車好きの兄を乗せドライブに出かけたのは、引きこもりのきっかけを作ってしまった罪悪感があるからでしょうか。

岐阜からの帰り道、蕉子に信男の悪口を言っていた道雄。

二人の会話を聞いていたあゆ子が“信男が嫌い”だと打ち明ける事件が起こりますが、理不尽にりつける道雄にモヤモヤしてしまいます。

自分は信男の悪口を言いまくっているのに、娘が不満を口にするとるなんておかしい…。

病院を受診した信男には病名が付かなかったようですが、良い病院に出会っていれば違う未来があったのかもしれませんね。

編集の提案

帰省から一か月後、次回作について編集と打ち合わせをしていた道雄。

そこで道雄は信男について描くよう促されますが、もしエッセイ化されたらかなりの反響がありそうですね!

道雄としては“普通の家庭”だと強調していましたが、編集から“普通じゃない”と言われ衝撃を受けた様子。

確かに狂った兄がいる家庭が普通とは思えませんし、普通ではない家庭で育った道雄は少しずれているのでしょう。

その後は家族で出かけた外食で事件が起こりますが、いくら幸せが壊れる事を恐れているとはいえ、道雄の極端な行動に振り回される家族が気の毒に感じました…。

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『名前のない病気』の魅力を徹底解説!

普通じゃない幼少期

道雄は両親と二人の兄と暮らすごく普通の家族でしたが、たった一人狂った人間がいるだけであそこまで異常な暮らしになるなんて…。

15歳年上の兄に力で対抗できるはずもありませんし、成すすべもなく従うしかない道雄が可哀想でいたたまれなくなりました。

狂った日常

気に入らない出来事が起こる度に、包丁を持ち出していた信男。

15歳年下の弟がいたら可愛がりそうなものですが、道雄が何かを求める度に抑圧し、兄の存在感を見せつける信男に嫌気がさします。

ただ、次男の康二は道雄の一番の理解者で、今も友人のように過ごす二人には他の兄弟にはないような深い絆で結ばれているのではないでしょうか。

家族の今後

幼少期に普通じゃない環境に置かれたせいで、常識外れな行動を取り続ける道雄。

少しでも気に食わないところがあれば押さえつけようとする姿が見られましたし、やはり信男の行動が人格形成に悪影響を与えているのでしょうね。

このままでは大切な家族にまで普通じゃない暮らしを強いる事になりますし、道雄は一度自分の行動を見つめ直す必要があると感じます。

また、トラウマの原因となった信男と和解できるのかも気になるところです!

名前のない病気を読んで一番印象的だったところ

家族の中にたった一人“異常者”がいるだけで、安らげる場所が地獄に変わるのだと実感させられました!

道雄や康二も苦しんだと思いますが、特に母親の苦悩は相当なものだったのでは…。

作中では病院を受診したけれど診断がつかなかったと明記されていますし、もしここで診断が付き適切な治療を受けていれば、家族が幸せになる未来もあったのかなと感じます。

漫画家として成功しながらも、信男の話題を出した事がない道雄。

編集の言う通り信男についての物語を描けば相当な反響があると思いますが、もし描くとしたらどのような作品になるのか気になります。

もし作品化でき家族を見つめ直すきっかけとなれば、道雄と信男が和解できる展開もありえるかもしれませんね!

まとめ

『名前のない病気』について紹介しました。

家族について描くエッセイ漫画家として成功しながら、引きこもりの長男・信男については一度も描けずにいる道雄。

信男が引きこもるきっかけを作った事に引け目を感じている道雄は、今も兄を見捨てられずにいました。

モモジロウ

葛藤を抱えた家族の今後が気になります!

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